
CRAの求人のなかには、臨床開発の業務未経験者でも応募可能という求人が少なくありません。もちろん、薬剤師や看護師の有資格者であるなど、一定のハードルが設けられているので、未経験者であったとしても、誰でもいいというわけではありません。
逆に言えば、未経験といっても、応募資格を満たしているのであれば、臨床開発業務をこなすうえで、最低限、必要とされる知識を習得しているということになります。そのため、より高度な専門知識の有無については、あまり気にする必要はありません。
採用する企業側も、そこまでは求めていません。(臨床開発業務に関する専門知識を有する人材を募集する時には、CRA経験者のみ応募可ということで、募集をかけます。未経験者向けの求人を出しているということは、専門知識は不要ということです。)
当然、専門知識は業務をこなすうえで重要です。しかし、これらは仕事をしていくなかでも十分身につけることが出来ます。ある程度の基礎知識は必要ですが、それらは、医療系の現場や研究系の現場で働いていれば身につくことなので、薬剤師や看護師として働いてきた人であれば、何ら問題ありません。
それゆえに、専門知識というのは、そこまで重視されていません。入社後、身につけてもらえば、それでいいという考えです。
では、薬剤師などの資格を持つ人間が応募すれば、誰でも採用されるかと言えば、そうではありません。やはり、適性や能力を見極めて、この人であれば、CRAとして十分通用すると判断された人間のみが採用されることになります。
では、具体的には、どんなことが応募者に求められるのでしょうか。答えから言えば、最も重要な要素となるのは、【コミュニケーション能力】と【成長したいと思うモチベーション】です。ほかにも、色々な要素はありますが、突き詰めると、この2つに集約されます。
CRAにとって、コミュニケーションスキルは必須
どんな仕事においても、コミュニケーション能力は重要ですが、臨床開発という仕事においても同様です。意思疎通という意味でも大切なスキルとなりますが、それだけでなく、下記のような意味合いも含まれます。
- 資料を正確に作成する
- 計画を調整して、スケジュール通りに円滑に進めていく
- ミスを防止して治験を正確に行なっていく
臨床開発というのは、多くの人間が関わることになるため、人とのコミュニケーションに支障があるようでは、業務を遂行することは出来ません。
このコミュニケーションスキルというのは、努力次第で身につくものではありますが、同時に、一定の才能、センスが問われる能力でもあり、ダメな人はダメです。そのため、面接の際には、厳しく見極められることになります。
経験を積むことで上手くなるという要素があるので、勤務薬剤師からの転職を目指しているのであれば、患者さんや同僚などと、意識的に会話を重ねるようにしてください。聞き上手になるというのが、最強のテクニックなので、相手の話に耳を傾ける努力をするのは、特にオススメです。
※補足
コミュニケーション能力はある程度才能、センスが問われますが、意識して、改善を心掛ければ、大半の人が一定以上のスキルを習得出来ます。『コミュニケーションが苦手だからCRAを諦めなければいけない』ということでは決してないので、補足しておきます。
勉強をして、常に自分を高めようとするモチベーション
コミュニケーションと同じように重要な資質となるのが、モチベーションです。未経験者の場合、CRAとして必要な専門知識を勉強して習得していくことになりますが、これは継続的、かつ長期的な取り組みとなります。
経験豊富な人であっても、常に学び続ける必要があるぐらい、奥が深いことなので、臨床開発という仕事を追求する限り、勉強というのは常に関わってくることなのですが、未経験者・初心者の場合、特にその度合いが強くなります。
医療的な知識だけでなく、事務的なスキルも必須ですし、それらの知識を総合して、業務をこなしていく応用力も求められます。身につけるべきことは多々ありますが、自分を高めようとするモチベーションが無いと、これは苦痛以外の何者でもありません。
そして、自分を高める意欲がなければ、当然、業務を遂行するためのスキル・知識が高まらないので、キャリアも頭打ちとなります。若いうちは、それでもなんとかなりますが、年齢が上がるに連れ、会社側からの要求度も高くなってくるので、そこに応えられないと、最悪解雇ということにもなってしまいます。
特別なスキルよりも、コミュニケーションとモチベーション
CRAという仕事に転職する際には、何か特別なスキルを持っておかなければいけないというわけではありません。ただし、繰り返しになりますが、コミュニケーションとモチベーションというのは、欠かせない要素となります。
この二つについては、常日頃から意識しておくことが重要です。コミュニケーション能力に不安を感じる人は、この人はコミュニケーションがうまいなと思う先輩や同僚などの立ち回りなどを参考にしたり、先ほども触れた『聞き上手』を意識してみてください。
モチベーションに関して不安を感じる人は、本当にCRAになりたいのかどうか、なぜ、なりたいのかといったことをもう一度、自分に問いかけることです。自分との会話を繰り返すことで、本当に自分が望むことが明確になってきますし、人間は自分の望みを叶えるためであれば、自然に努力することが出来る動物です。
モチベーションがイマイチという人は、そもそも、自分が本気で望むものに向き合っていないという可能性が高いので、この点を徹底的に追求してみてください。