
アスクレップは20年以上に渡り、日本国内を中心にCROサービス事業を展開してきた中堅CRO機関です。ここ数年は業績が低迷していましたが、2015年に伊藤忠商事が全株式を買収して親会社となり、事業体制の改変を進めています。
特に、大型プロジェクト、国際共同治験の割合を増やしており、人材採用にも積極的です。CRAの中途採用求人も定期的に発生しており、薬剤師からの転職に成功する人も少なくありません。
アスクレップの中途採用事情
アスクレップの場合、CRA業務経験者を募集する頻度が高いので、未経験者が応募出来るチャンスは、他のCRO機関と比較すると少ないのが実情です。そのため、こまめに求人をチェックして、未経験者が応募出来る案件が見つかったら、すぐに応募することが重要です。
なお、CRA以外の薬剤師経験が活きる仕事としては、メディカルライティングという選択肢が存在します。製造販売後調査、及び臨床試験における、各種資料(安全性定期報告書/再審査申請資料、治験総括報告書、治験薬概要書/同意説明文書等)を作成するといった業務内容となります。
未経験者でも、薬学系の知識があれば応募可能となっているので、興味がある人は要チェックです。サイエンス分野での英文読解経験、ライティング経験があれば、さらに有利です。(語学スキルとしては、TOEIC750というのが一つの目安となっています。)
CRAの年収、評価制度について
アスクレップにおけるCRAの年収例ですが、代表的な例としては、下記のようになります。ランク制となっており、リーダー職になると、大幅に給与がアップする仕組みとなっています。一般職とリーダー職では、同じ勤務年収でも、数百万の差が付くことが珍しくありません。
<アスクレップのCRA年収例>
- 30歳 年収550万円
- 31歳 年収500万円
- 31歳 リーダー職 年収850万円
- 32歳 年収680万円
- 34歳 リーダー職 年収850万円
- 37歳 年収700万円
ランクアップは半年1回の勤務評価次第となりますが、上司と面談のうえ設定した自己目標の到達率によって決定するMBO評価となります。理論家よりも実践者が高く評価される社風なので、高いモチベーションを持って、意欲的に働くことで評価が上積みされる傾向があります。
また、リーダー職の育成に力をいれていることもあり、自分から周囲に働きかけて、業務を遂行していけるような人物のほうが、昇格ペースが速くなります。
一方、CRA業務に精通したスペシャリストに対する評価が低くなりがちなので、マネジメントスキルを身につけられるかどうかが出世の分かれ目となっているのが現状です。ただし、伊藤忠商事の買収後、スペシャリストを育成していこうという姿勢が出てきているので、今後は変化する可能性があります。
残業代については、基本的に全額支給となり、少ないながら住宅手当も支給されています。それ以外の福利厚生については、特筆することはありません。
アスクレップの労働環境、ワークライフバランスについて
繁忙期を除けば、業務の調整は容易であり、長期休暇も取りやすい会社です。しかし、上司の管理能力による部分も大きく、優秀なリーダーの元であれば、工数がかさむ時にも、業務負担をうまく配分することで、ワークライフバランスが維持出来ます。
一方、能力が低いリーダーだと、日常的に残業が発生するような状態であり、このあたりは運・不運もあります。
会社全体としては、ワークライフバランスに対する意識が高い企業であり、有給休暇取得、定時退社が奨励されているので、仕事とプライベートの調整はしやすい環境にあります。部署によっては、長期休暇を年3回取得している人もいるようです。
産休、育休、時短勤務などの制度も整っているので、家庭を持っている女性でも継続して働くことが可能です。結婚や育児などの理由でモニターとしての業務を遂行することが難しい場合には、サポート職として、CRA業務に従事することも可能です。
女性社員比率が高い会社であり、女性のための就労環境整備に対する意識が高いため、女性にとっては働きやすい会社と考えて間違いなしです。
アスクレップへ転職する価値はあり?
CRAに詳しい人であれば、上記の年収例を見て、気がついたかもしれませんが、アスクレップはCRO業界のなかでは、給与水準は低めです。同業他社と比較すると、年収が100万円くらい少ないというケースもあります。
これは、業績がそれほど良くなかったという背景がありますが、近年では業績が回復してきているので、今後は変わる可能性があります。そのため、CRO業界に精通している転職エージェントなどにコンタクトを取って、アスクレップの実情について確認したうえで、転職するかどうか決断することをオススメします。
中途採用者にとっては朗報ですが、アスクレップは元々、新卒と中途採用で、給与に差を付けることをしない会社なので、その点では転職先としては悪くありません。
下記でも触れていますが、マイナビ薬剤師、ファルマスタッフ、アプロ、薬キャリといった薬剤師専門の転職エージェントであれば、薬剤師の有資格者からの応募を受け付けているCRO機関からの求人案件を常時扱っており、アスクレップの求人事情にも精通しているので、相談先としてオススメです。
もちろん、こういったエージェントは、他のCRO機関からの求人情報も押さえているので、より好条件の求人があれば、紹介してもらうことも可能です。