昔は、仕事を探す時には、新聞の求人広告を見たり、専門情報誌を買ったりしたものですが、今の時代、転職先を探す時には、インターネットから転職会社に登録して、求人を紹介してもらうというのが、一般的な流れです。
でも、そこで、こんな疑問を感じる人もいると思います。
転職会社って、信用出来るの?
ネットで調べてみると分かりますが、転職会社を利用したら、ひどい目に遭ったという人は少なくありません。たとえば、こんな体験談を投稿されている方がいます。
いくつも紹介してくれるのですが、どれも条件が合っていないんです。
それも、なんども説明していることばかりで、条件が合っていないのは百も承知のはずなのに、メールと電話で説得され、時間ばかり取られて
「また、調べてみます」
の繰り返し。
もう、ダメ元で話をぶつけられているといった感じです。そして、ついに耐えられずに、今日の電話で私は切れました。
「何度も希望条件は繰り返して言っています!
それを明らかに合っていないものを、こうやっていくつもいくつも紹介されるのは、
はっきり言って苦痛です!
ちゃんと条件に合ったお話しでない限り、もう持ってこないでください!」
と怒鳴って、ブチッと電話を切りました。
この方は、看護師さんなのですが、これは薬剤師も含めて、あらゆる職種に関して当てはまることです。
参照元のページには、この方が経緯を書かれているので、そちらを読んで頂くと分かりますが、要は、自分の希望に合わない求人を、転職会社からごり押しされたということです。
ハッキリ言うと、こういったケースは珍しくありません。あらかじめフォローしておくと、全ての転職会社が、こんなヒドイわけではないですし、同じ転職会社でも、担当者によって、対応が違うので、一概に、この会社はダメとは言えません。
目次
担当者の能力
転職会社を利用する時には、この『担当者』というのが、重要キーワードです。これは薬剤師の転職支援を行う転職会社も含めて、全ての会社に共通することですが、転職会社では担当制を敷いており、応募者が来た時には、専任の担当者を付けます。
仮に、私が応募したとしたら、私を担当する人Aさんが付き、基本的に、転職が決まるまで、Aさんとやりとりをすることになります。
では、どんなふうに、Aさんが私に割り振られたのかと言えば、基本的に適当です。応募順に機械的に割り振っています。
私が、管理薬剤師として15年働いてきて、最大20名のスタッフをマネジメントした経験があるといったような、優秀な経歴を持つ薬剤師であれば、その転職会社のなかでも、エースと呼ばれるような優秀な担当者が付く可能性があります。
転職会社というのは、調剤薬局やドラッグストア、病院などに薬剤師を紹介して、その対価として、紹介料をもらうというのが、ビジネスモデルです。(ですから、転職する側のほうは、無料で転職会社のサービスを利用することが出来ます。)
それで、ここがポイントなのですが、転職会社がもらう紹介料というのは、紹介した薬剤師の年収の20~30%です。仮に、私が年収600万円で転職が決まった時には、120~180万円の手数料が、転職会社に入るということです。
ここで、鋭い方は気付いたと思いますが、転職する人の年収が高ければ高いほど、転職会社がもらえる紹介料は、高額になります。
つまり、高額な年収で転職出来そうな優秀な薬剤師というのは、転職会社にとっては、有り難い存在であり、上記で書いたような、『管理薬剤師として15年働いてきました』といったような人であれば、優秀な担当者が割り当てられる可能性が高いです。
実際、管理職の経験がある人だと、転職会社を利用して、変な思いをした人というのは、案外少ないです。
ちょっと、話が長くなりましたが、自分に、どんな担当者が付くのかで、状況は大きく変わってくるということです。
同じ転職会社でも、担当者の能力は、大きく違う
担当者の力量によって、どんなフォローを受けられるのか、内容が変わってくるのですが、ここで重要なことは、同じ転職会社においても、担当者の力量はバラバラということです。
人材の採用をかなりシビアに行っている転職会社、社員教育がしっかりしている転職会社であれば、優秀なスタッフが多いのですが、残念ながら、そういった転職会社は、ほんの一部です。
下記の画像を見てください。
これらは、転職会社が自社スタッフを募集している求人です。具体的な社名は控えますが、どちらも有名な大手です。応募資格を見て頂くと分かりますが、どちらも、けっこう緩いです。(未経験者でも応募出来ます。)
つまり、転職会社に入社して、間もないような担当者だと、まともに転職支援を行えるだけのスキルを持ち合わせているかどうか、かなり微妙ということです。
私自身、昔、転職会社に登録したことがありますが、『この人、業界のことを何も知らないよね』と感じる担当者もいました。その真逆で、この人は本当に分かっているなという担当者もいましたが、これは、本当に運次第です。
一度、付いた担当者は変えてもらえない
そして、先ほども少し触れましたが、担当者というのは専任制なので、一度割り当てられた担当者というのは、よほどのことがない限り、変えてもらえません。
その担当者の上司にクレームを付けても、『本人に言って聞かせますので・・・』といった対応をされて終わりです。
今は、転職を希望する人が多く、どの転職会社も、一人のスタッフが、数多くの案件を抱えています。ですから、能力がないスタッフをフォローするような余裕はないですし、そういったスタッフにも、責任者として、担当させなければ、とてもではないけど、回りません。
クレームがあったとしても、担当から外すなんてことは、まずないということです。
そして・・・
話が元に戻ると、一部の人並み外れた経歴を持つ人に対しては、最初から、優秀な担当者が付くので、シビアな見方をすると、能力のない担当者を割り当てられた時点で、あなたは、その転職会社から、あまり重要視されていないということです。
ですから、今後、その状況が良くなることは考えにくいです。
転職会社は信用出来る?という問いに対する答え
ここで、そもそもの『転職会社は信用出来る?』という質問に戻ると、これは、正確には転職会社というよりも、担当者ということで考えなければいけません。同じ転職会社でも、担当者の力量は多く違うからです。
ですから、転職会社を利用した人の声を聞いても、同じ会社なのに、大満足という人もいれば、ケチョンケチョンにけなしている人もいます。でも、これは業界の特性上、避けられないことです。
どんな担当者と出会えるかによって、結果が違ってくるからです。でも、その担当者というのは、自分では選べないわけですから、結局は運次第ということになってしまいます。
正直、ここは、自分ではコントロール出来るものではなく、どうしようもないと思います。でも、今の時代、転職会社を利用せずに、仕事を探すというのは、現実的ではありません。
調剤薬局、ドラッグストア、病院など、薬剤師の求人を出しているところは、転職会社のサイトで告知をかけているからです。
では、一体、私達は、どうすればいいのでしょうか?
※補足
サイトの運営に力を入れている、大きな病院やCRO企業、大手の薬局チェーン、ドラッグストアチェーンだと、ホームページ上で、薬剤師を募集している求人を掲載していることもあります。
そういったところだと、サイト上から、直接、求人に応募出来るので、具体的に、ここで働きたいという職場があるのであれば、ホームページを確認してみることを、オススメします。
転職会社をうまく活用する方法
長々と話が続いてしまいましたが、転職会社を利用する時には、この担当者の問題を避けるために、同時に複数の会社に登録することをオススメします。
登録すると、確認の電話がかかってきますが、そのやりとりで、担当者の善し悪しを判断して、この人は良さそうという担当者とだけ、会うようにすれば、無駄な時間を省けます。かなり消極的な方法ではありますが、これは、最も確実な方法です。
もし、登録作業が面倒ということであれば、とりあえず1社だけに登録して、その会社がダメだったら、次に移るというふうにするといいです。
(登録する際に、入力する情報は、どの転職会社も一緒なので、内容をWordやEvernoteなどに保存しておいて、その都度、コピペすると楽です。)
あとは、担当者の善し悪しの見極めですが、あなたの要望を的確に把握して、希望条件に合う求人を紹介してくれるかどうかなので、どんな求人があるのか、具体的に幾つか、紹介してもらうようにしてください。
また、その時に、会って話をするとなると、時間を取られることになるので、その前に、メールで、幾つか求人を教えてもらうことをオススメします。
転職会社の担当者と、電話ではなく、メールベースで連絡を取る方法
ちなみに、最初の確認連絡も含めてなのですが、わざわざ、担当者と電話で話をするのは嫌だという人もいると思います。
私も、そういった人間で、昔から、電話よりも、メールでの連絡を好んでいます。(メールだと、履歴がしっかり残るので、言った、言わないというトラブルを防げるし、忘れた時にも、内容を確認出来るというメリットがあるのも、好む理由の一つです。)
それで、自分自身が転職会社を利用した時にも、メールで連絡を取るようにしていました。
『でも、電話がかかってくるのでは?』
そんなふうに思われる人もいるかもしれませんが、これはとても簡単な話で、電話に出なければいいだけです。
2~3回無視していれば、メールで連絡が来るので、そこで、今の仕事が忙しくて、電話に出ることが出来ないので、メールでやりとりさせて欲しいと伝えれば、まず対応してくれます。
それでも、強引に電話をかけ続けるような人は、先ほどお伝えした、『あなたの要望を的確に把握出来るかどうか』という、担当者の力量を見極めるポイントを満たさない人なので、ハズレの担当者とみなして、その転職会社は諦めたほうがいいです。
それで、メールで求人を紹介してもらって、本当に自分が興味を持てるものがあったら、担当者と会うようにします。こうすれば、時間のロスを最小限に出来ますし、嫌いな電話のやりとりもしなくて済みます。
こんなふうにして、ちょっとした駆け引きをすると、転職会社を利用しやすくなるので、ぜひ、こんなふうに、やりとりしてみてください。
※補足
メールを送る時間を、夜遅くとか早朝、あるいは、昼休みの時間帯にしておけば、仕事が忙しいということを、信じてもらいやすくなります。
オススメの転職会社ってあるの?
転職会社を利用する時のコツというのは、以上となりますが、ここまで読んで頂いた方のなかには、『そうは言っても、信頼できる転職会社って、どこかないの?』という疑問を持つ人も、いるかもしれません。
ここまで、お伝えしてきた理由から、厳密には、この会社がオススメというのは、断言出来ません。私が良いと思えるサービスを受けられた転職会社でも、あなたが利用する時には、全く違う状況になる可能性があるからです。
ただ、強いていえば、長年に渡って、転職支援サービスを行ってきている、歴史の古い会社の信頼性は高いです。
歴史が古いということは、それだけ実績がある証拠ですし、これまでに膨大なデータを積み上げていますから、『この人には、こういった薬局がいい』というふうに、そのデータをもとに、適合性の高いマッチングをしてくれます。
また、こういったデータがあると、実力の低い担当者でも、精度の高い提案が出来るので、担当者の力量に左右されなくなるというメリットもあります。(データの活用で、力の差が出るので、あくまでも、程度問題です。)
さらに、昔から、転職支援サービスを展開している転職会社というのは、病院や薬局、ドラッグストアとのコネクションが強いので、新興の転職会社よりも、紹介してもらえる仕事の数が多いので、その分、良い仕事と出会えるチャンスが多くなります。
ちなみに、薬剤師の転職支援を専門とする転職会社だと、下記の4社は、2000年までに設立されています。
あとの転職会社は、2006年以降に設立されているところが多く、あえてオススメするとしたら、この4社です。実際、この4社は保有する求人数が多いですし、リサーチ会社が実施している、満足度ランキングでも、毎年、上位に入っているので、大丈夫だと思います。