今後、薬剤師は供給過剰になると言われていますが、実は数値の上では、常に過剰状態です。厚労省の『薬剤師需給の将来動向に関する検討会』が2007年にまとめた報告書によると、2007年時点で8万人が供給過剰となっています。

 

2014年では8.5万人、2018年には10万人が供給過剰となっています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/06/s0612-9.html

 

参照)第3回 薬剤師需給の将来動向に関する検討会  薬剤師需給の予測について

 

『でも、薬剤師の求人は幾らでもあるよね?』

『今は薬剤師が不足しているんじゃないの?』

 

そんなふうに思われる方もいると思いますが、需要と供給にギャップがあるため、数値上では供給過剰でも、常に薬剤師の求人が発生しているといった状況になっています。

 

このギャップを把握して、自分を高く売れる勤務先を探すというのがキャリア戦略の一つです。

 

ただし、今後は新卒薬剤師の数も増えることになり、やはり供給過剰の方向に進むのは間違いなく、求人倍率が高くなる時代がやってきます。そんな時でも採用される人材になるために、今のうちから準備しておきましょう。

 

このページでは、供給過剰の時代を生き残るためのキャリア戦略についてまとめてみます。

 

1:地方を狙う

薬剤師は都市部に集中しており、地域格差が非常に激しい状態です。たとえば、厚生労働科学研究報告によれば、東京でも23区の中央部では1748人の薬剤師が働いているのに対して、西多摩では147人と10倍以上の差がついています。

 

地方では、さらに薬剤師不足が深刻です。そのため、同じ業務内容でも東京だと年収500万円、地方だと700万円なんてケースが少なくありません。

 

住む場所にこだわらないというのであれば、地方に住んで薬剤師として働くというのは、かなり有望な戦略です。地方だと生活費も安くなるので、金銭的には苦労しなくなりますし、子育てという観点からも、自然豊かで情緒がある地方で暮らすというのは、悪くありません。

 

最近では、積極的に地方に引っ越すという薬剤師も増えてきており、良さが見直されています。真剣に考えてみるべきです。

 

2:今のうちに業務経験を積んでおく

医療の現場では、何よりも実力が重視されます。新卒採用に関しても、レベルが低い薬科大学出身者は採用しないという薬局もあります。数だけが増えても実力がある人にとっては、あまり痛手にはならないということです。

 

そのため、これから薬学部に入学して、薬剤師を目指す人は国公立、もしくは一流私大を選択するようにしてください。薬科大であれば、どこでもOKとは考えないことです。

 

一方、今現在、薬剤師として働いている人は、どんどん業務経験を積んで実務スキルを磨いておくことです。実務能力というのは仕事をしなければ身につくものではありません。

 

豊富な経験を持つ薬剤師は、どこでも重宝されます。今でこそ1~2年も働けば経験者とみられますが、今後は、より厳密に経験年数が評価されるようになってくるはずです。

 

3:コミュニケーション能力を磨く

薬剤師もサービス業ですから、調剤のスキルさえあれば現場で通じるというわけではありません。現場で何よりも大切なのは同僚やお客さんと意思疎通をスムーズに図ることが出来るコミュニケーション能力です。

 

コミュニケーションというのは、相手のことを思いやることから始まるので、大げさな言い方ではなく、自分自身の人格も大きな要素となってきます。

 

薬剤師としての専門スキルだけではなく、医療に関わる人間として患者さんを思いやるマインドを磨くことも大切です。

 

4:マネジメント能力を磨く

どんな職場でも、リーダーとなって管理出来る人間は高く評価されますし、常に需要があります。薬剤師の場合、管理薬剤師という専門職もあるので、そこを目指すのもアリです。

 

通常の医療事務、調剤業務が出来るだけでは、若い人のほうが優先的に採用されるので、年齢層が高い人ほど、管理者としての能力を身につけることが大切です。

 

5:専門スキルを身につけておく

薬剤師としての専門スキルを、とことん突き詰めることで、価値の高い人材になるというキャリアもあります。その場合、認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取ったり、CRC、CRO、SMOといった仕事もこなせようになるといったことが具体的な道筋となります。

 

ただし、何でもかんでも知識を身につければいいというわけではありません。寝たきりのお年寄りの支援が出来るように、在宅療養支援薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師の研修を受ける、もしかしたら、在宅医療を選択する患者さんのなかには、終末医療として在宅医療を選択している人もいるかもしれないから、緩和薬物療法認定薬剤師の資格も取っておくといったイメージです。

 

専門薬剤師

自分が薬剤師として、どんな活動をしていきたいのかというビジョンをはっきりすれば、身につけるべき知識・スキルも見えてきます。

 

こういった将来のビジョンを明確にすることがキャリア戦略の第一歩です。