CRA

 

医療機関が実施している臨床試験が、GCPに準拠して適切に実施されているかどうかを調査・確認する職業であるCRAに対するニーズは、これまで製薬企業が行ってきた治験のアウトソース化が本格化したことに伴い、年々高まっています。

 

臨床開発業務の受託機関であるCROは、ニーズの拡大に合わせて、CRAの人員を拡大させてきていますが、市場の成長スピードが当初の予測以上に加速しているため、絶対数が不足しています

 

そのため、未経験者の採用も活発に行われています。CRO各社に育成ノウハウが蓄積され、未経験者を育てる体制が整ってきていることも、その傾向を後押ししています。

 

結果として、専門職でありながら、未経験者でも採用されるチャンスが多いという、珍しい状況になっています。

 

目次

CRAの収入は?

 

未経験者の場合、初年度は年収400万円前後となる企業が大半です。年収の上昇ペースは比較的速く、3年ほどで500万円以上の額が確実に見込めます。リーダー職になると700万円以上になるケースも珍しくありません。

 

ちなみに、CRAは本社配属となるのが基本です。勤務先となるCROは、東京・大阪を本社とする企業が多いので、この収入も東京・大阪勤務での額と考えてください。

 

 

CRAに必要なスキルは?

 

GCP・薬学に関する専門知識と、コミュニケーションスキルが必須です。特に今は、どこのCRO企業も、CRAのコミュニケーションスキルを重視するようになってきています

 

いくら専門知識に精通しているとしても、治験責任医師や治験事務局、治験協力者とうまく意思疎通が出来なければ、臨床試験をスムーズに進めることが出来ないからです。

 

現場でトラブルが発生するケースもあり、そうなった場合の損害は莫大なものになります。

 

そのため、薬剤師・看護師・MR等、様々な背景を持つ人がCRAとして活躍していますが、高いコミュニケーション能力を持っているという点では共通しています。

 

残業は多い?

 

企業によっても違いますが、おおむね毎月30~40時間ぐらいの残業があるのが一般的です。プロジェクトの開始時期・終了時期に集中するので、その時期以外は定時勤務が多くなります。

 

ただし、忙しい時期でも自分で仕事のスケジュールを調整して、定時に帰ることも出来ますし、フレックス制度を設けている企業も多いので、融通が効きやすい仕事と言えます。

 

女性が働きやすい仕事?

 

CRAの男女比はほぼ5:5。やや女性のほうが多い職種なので、女性が働きやすい職場と考えて間違いありません。子育て支援の制度も整っており、育児との両立がしやすい業界です。

 

 

CROのCRAと製薬会社のCRAの違い

 

臨床試験を自社で行う製薬会社もあるので、CRAの勤務先としては、CROと製薬会社の二つに分かれます。

 

CROは、様々な会社の薬剤開発に携わることが出来るので、幅広い経験を積むことが出来ます。ただし、治験業務のなかの一部を請け負うという形になるので、広く浅くといった感じになってしまうという傾向があります。

 

一方、製薬会社勤務だと、一つのプロジェクトにジックリ携わることになります。プロジェクト管理といったCRO勤務では出来ない経験を積むチャンスもあります。

 

将来のキャリアを考えると、CRAは『どの診療科で開発経験があるか?』、『どこの施設や医師とコネクションがあるか?』、『どんな業務をこなしてきたか?』といったことが評価ポイントとなるので、CROで働いていたほうが、転職時には高く評価される可能性が高いと考えてください。

 

キャリアアップの可能性

 

CRAとして働ける人の場合、TOEIC700以上レベルの英語力があれば、キャリアの幅が大きく広がります。国際的な治験に関わることも出来ますし、CRA業務の知識が活かせる開発支援業務(学術・DM・開発QC・安全性情報等々)も選択肢に入ってきます。