これまで、正社員としてフルタイムで働いてきたが、子どもが生まれて、現在、産休中。家計のこともあり、すぐに職場復帰することを考えているが、復帰後、今まで通り正社員として働き続けられるのかどうか不安。
育児のことを考えると、パートに切り替えたほうがいいような気がするのが、収入が減ってしまうし、一度パートとして働き始めると、正社員に戻れるのか心配。
また、パートとして働いていると、キャリアアップ、スキルアップに支障が出てくるのではないかと、多少、無理をしても正社員として復帰したほうがいいのかなとも思う・・・
このページでは、こんな悩みを持つママ薬剤師を対象に、正社員、パート、どちらを選択すべきか、判断する基準についてまとめています。
人によって正解は変わってきますが、自分が置かれた環境と、自分自身の価値基準を照らしあわせていけば、答えは見えてきます。下記に、検討すべきことを一つずつ取り上げていますので、順序を追って考えてみてください。
目次
ママ薬剤師が働き方を決める時に知っておくべきこと
ここから具体的に考えていくことになりますが、そのために、薬剤師という仕事に関して、幾つか知っておくべきことがあるので、まずは、それらについてお伝えします。
正社員、パート、どちらでも、すぐに仕事が見つかる
結婚、子育てが理由で退職する女性は、どの業界でも多いもの。そこは、薬剤師も変わりません。
そして、『辞めてしまったら、仕事が見つからないのでは?』と、不安を感じるかもしれませんが、結論から言うと、薬剤師に関しては、全く心配ありません。
なぜなら、今現在においても、薬剤師の数が不足しており、企業側からすると、猫の手でも借りたいというのが、正直なところだからです。
正社員、パート、どちらにおいても、一年中を通して、頻繁に求人が発生しており、仕事が見つかるかどうかという心配とは無縁で済みます。
これは、小さな子どもがいるママ薬剤師でも変わらず、仮に、今の会社と働き方で折り合いがつかないという時にも、すぐに別の仕事が見つかるので、安心してください。
薬剤師を募集する求人というのは、夏から秋にかけて、急増する傾向があります。有名な大手からのオファーも多く出る時期であり、好条件の求人に巡り会えるチャンスが増えるので、狙い目にはなります。
もし、転職する時期を選べるようであれば、このタイミングにするのは、オススメです。
パートとして働くとしても、いつでも、正社員に戻れる
先ほどもお伝えしたように、薬剤師は人手不足なので、企業側からすると、正社員として働きたいというママ薬剤師は大歓迎です。
もし、今現在、パートとして働いている薬剤師が、正社員になりたいと言ったら、すぐに対応してくれる可能性が大です。
ですから、まずはパートで働いて、子育ての状況を見極めながら、無理のないタイミングで、正社員に戻るという考え方でも問題なしです。
育児と仕事の両立に不安がある場合、パートとして復帰して様子を見るというのは、合理的な判断ですし、あらかじめ、そのことを伝えておけば、会社側も正社員候補として見てくれます。
派遣で色々な会社を経験するというやり方もある
まずは、パートで働いて、正社員としても働けそうな会社を探すという場合、派遣社員という選択肢もあります。
派遣社員のメリットは、一度登録すれば、派遣会社のほうで、求人を用意してくれるので、自分で仕事を探す必要がないということです。
パートやアルバイトだと、職場を変えたいとなった時に、自分で新しい仕事を探さなければいけませんが、何度も繰り返すとなると、なかなか面倒です。
勤務時間数や勤務時間帯、出勤する曜日など、職場に求める条件が細かい人だと、その条件に合う求人を探さないといけないので、なおさらです。
でも、派遣社員であれば、派遣会社に『仕事を変えたい』と一言伝えるだけで済むので、手間が省けて便利です。働き始めた後、何かあった時にも、派遣会社が間に立ってくれるので、精神的にも楽です。
一時的にパートとして働いても、キャリアには影響がない
薬剤師としてのキャリアアップを真剣に考えている女性だと、一度、パートになってしまうと、その後のキャリアに支障が出るのではと、心配になるかもしれません。
でも、結論から言えば、ここも問題ありません。先ほども触れたように、パートから正社員に復帰するのは簡単ですし、本人が希望すれば、パートも正社員と同じように、スキルアップ講習、社内研修を受けられるようになっている企業も存在します。
また、担当する仕事の内容、ポジションについても、あなたが希望するキャリアに、沿うような内容にしてくれます。これまでの経験・スキルがあれば、管理薬剤師として働くことも可能です。
収入が減ることを除けば、パートとして働くデメリットは何もない
結局のところ、正社員として比較して、パートで働くことのデメリットとしては、収入が低くなるということだけです。それ以外には、デメリットとなるようなことはありません。
また、収入についても、薬剤師の時給は最低でも2000円、地域によっては3000円を超えることもあるので、1日4時間程度の勤務で、日給1万円前後をキープできるので、家計の足しにするぐらいのお金は、十分に確保できます。
あとは、それ以上の収入を望むかどうかです。
自分にとっての、最適な働き方を決める基準
正社員、パート、どちらの働き方を選択するのかは、収入、働く時間、子育てのサポート環境の3点を重視して考えていくといいでしょう。それぞれ詳しくみていきます。
自分が欲しい収入はどれくらい?
働き方を決めるうえで、最も重要なのは、自分がどれだけの収入を望むのかということに尽きます。そのため、望む収入額を明確にしてください。
もし、それほど大きな収入が必要というわけでなければ、その時点で、パートということでいいかと思います。(育児中のママ薬剤師にとっては、自分の時間が増えて困ることはないでしょう。)
逆に、希望収入額が、フルタイムで働かなければ手に入らない金額であれば、正社員というのが、第一候補になってきますし、1日8時間勤務は無理ということであれば、高時給のパートを探すなど、仕事探しを工夫する必要が出てきます。
いずれにしても、希望収入を明確にするだけで、色々なことが見えてきますので、まずは、ここをキチンと決めてください。
子どもの学費など、将来を見据えて判断したい時には、ファイナンシャルプランナーに相談するのもアリです。どれだけの収入を稼いで、どんなふうに家計を設計していけばいいのか、客観的な視点でアドバイスしてくれるので、参考になるはずです。
働ける時間はどれくらいあるか(1日のタイムスケジュールを作ってみるといい)
小さな子どもがいるママ薬剤師にとって、どれぐらいの時間、働くのかというのも、重要なことです。通常であれば、ここで真っ先に、考えなければいけないのは、『子供をどこに預けるのか?』ということですが、薬剤師の場合、あまり心配する必要はありません。
託児所を設置している会社が多いためです。タイミングによっては、託児所付きの求人が埋まっていて、希望勤務エリアで仕事がないという可能性もありますが、少し時間をかけて探せば、必ず利用できる会社を見つけられるはずです。
そのため、それほど、深刻に考えることはありませんが、実家の両親に見てもらえる、家の近くの保育園を利用できるなど、代替の選択肢があれば、余裕を持てるので、いざという時のために、考えておくのはアリです。
話を元に戻すと、ママ薬剤師の場合、子どもを預けるという問題は、まず大丈夫なので、ここで重要なことは、自分がどれだけ仕事に時間を割きたいのかということになります。
正社員で、毎日フルタイムで働きながら、家のこともするとなると、かなり大変です。子どもが小さなうちだと、色々と手がかかって、その分、精神的にも肉体的にも疲れますから、普通に仕事と家庭を両立させるよりも、さらにハードルは高くなります。
こういったことを考慮して、わざ仕事を抑えめにしておくというのは、良い選択肢です。
また、時間の使い方について
- もっと自分のことに時間を使いたい
- 毎日、余裕を持って暮らしたい
- 子どものことに時間を費やしたい
といった要望があれば、正社員になって仕事に追われるよりも、パートで無理なく働いたほうがいいという判断になるかもしれません。
子育てをサポートしてくれる人がいるかどうか
もう一つ、ママ薬剤師が仕事に復帰する時に、考えておくべき大切なことがあります。それは、「子育てに協力してくれる人」が身近にどれぐらいいるか、ハッキリさせておくということです。
これは、同時に、あらかじめ、身近な人に協力してもらえるように、話をしておくということでもあります。言うまでもないかもしれませんが、最も身近な人というのは、ママ薬剤師の場合、ご主人=夫です。
夫がどれだけ協力的などうかで、女性の働き方は大きく変わってきます。これは、当たり前の話ですが、ここがうまくできていない家庭は多いです。
そのため、女性が一人で抱え込むことになります。社会で働く女性の多くは、責任感が強く、自分一人で何とかしようと頑張りがちです。
その姿勢自体は素晴らしいものですが、それが女性を孤独にしてしまいがち。子育ては、自分だけの問題ではないと、第一に心得ておきましょう。
多くの人の助けがあってこそ、子供が育つという意識を持ちながら、協力してもらえる人たちと話し合うことが大切です。
もちろん、一番大切なのは、夫の協力です。今後の夫婦関係にも大きな影響を及ぼすので、ないがしろにせず、お互いが納得するまで、十分に話し合ってください。
夫が何もやってくれないと、不満を持っている人の旦那さんに話を聞くと、『自分も家事や子育てに取り組みたいと思っているけど、妻が何も言わないので、どうしていいのか分からない』という答えが返ってくることが、あります。
奥さんからすれば、『何を言っているの?』という感じかもしれませんが、男性はこんなもの。『手伝って』と一言いえば、スンナリ言うことを聞いてくれたりするので、何もしないという不満がある人は、一度、話を振ってみてください。
家事・子育ては夫婦一人で取り組むものなので、本当は『手伝う』という言い方もおかしいのですが、そこは言葉のアヤとして・・・
家電や共働き世帯向けのサービスを活用する
家事、育児については、ほかにも負担を軽減する方法があります。電化製品をうまく使いこなす、家事代行サービスを利用するといったことです。
今は、何かと便利なものがあり、うまく活用すれば、家事の負担を大きく減らすことができますし、そうなれば、もっと多くのエネルギーを、育児や仕事に注ぐことができます。
少し前までは、ぜいたくと言える家電製品、サービスも、今では、どの家庭でも利用できる一般的な、お値段となってきているので、活用しない手はありません。
特に、給料が高い薬剤師の場合、こういったことにお金をかけてでも、働く時間を生み出したほうが、その分、収入が増え、家計的にはプラスとなります。
下記のページに、ママ薬剤師にオススメの電化製品、サービスをリストアップしていますので、うまく活用してください。
ママ薬剤師が働き方を決めるうえで、知っておくべきこと
- 収入
- 時間
- 環境
この3つの要素が、ママ薬剤師が自分にとって最適な働き方を判断する時の目安となるものですが、これらのことについて考える時に、予備情報として幾つか知っておいたほうがいいことがあるので、それらをまとめておきます。
ぜひ、ここからお伝えすることも頭に入れながら、収入、時間、環境のことについて、まとめるようにしてください。
1日5~6時間働けるのであれば、時短勤務という選択肢がある
企業によっては、育児中のママ薬剤師を対象に、時短勤務制度を設定しているところもあります。時短勤務というのは、正社員という雇用形態は、そのままで、働く時間を減らせる制度です。
具体的な勤務時間は、企業によって違いますが、薬剤師の勤務先である薬局やドラッグストアだと、1日5~6時間程度で設定している会社が多いようです。
正社員であれば固定休なので、契約社員やパートよりも、収入が安定しますし、各種手当、福利厚生も充実したものとなるので、お得です。
企業側としても、経験豊富な薬剤師には、長く勤めてもらいたいというのが本心であり、結婚や出産のタイミングで辞める人を減らしたいと考えているので、今は時短勤務の利用を、積極的に推奨するようになっています。
利用できる期間も、だんだん伸びる傾向にあり、子どもが小学4年生になるまで可能とする会社も出てきています。
1日5~6時間ぐらいだったら、無理なく働けるという人の場合、パートや派遣で働くよりも、メリットがあるので、ぜひ検討してください。
託児所を併設している職場が多い
薬局や病院、ドラッグストアだと、託児所を併設しているところが多く、働いている人は格安で利用できます。(福利厚生の一環として、無料としている会社もあります。)
勤務時間にあわせて、運営しているので、夕方、夜間、早朝など、普通の保育園では対応していない時間帯でも預けられるので、託児所がある職場を選ぶことで、働き方の自由度が高くなるという利点があります。
また、病院を中心に、病児保育、病後保育に対応している託児所もあるので、いざという時も安心です。
託児所付きの職場で働けば、仕事と育児の両立という問題は、難なくクリアできるので、ママ薬剤師というのは、ほかの仕事に就いているお母さんよりも有利な立場にあると言えます。
病児休暇など、育児中のママ向けの特別休暇を用意している職場もある
小さな子どもがいるママ薬剤師にとって、働き方を考えるうえで、最も気になることの一つが、子どもが病気になった時のことだと思います。
いざという時に、仕事よりも子どものことを優先できるかどうかというのは、非常に重要なことですが、薬局やドラッグストアだと、ママ薬剤師が安心して働けるように、病児休暇を設定して、子どもの体調が悪くなった時には、自由に休みが取れるようにしているところが増えています。
親など、身近に頼れる人がいるのであれば、このあたりは気にしなくてもいいかもしれませんが、自分一人で対応しなければいけない状況であれば、こういった職場を選ぶようにしましょう。
育児支援に力を入れている会社には、当然、子どもがいる人が集まってくるので、子育てに対する理解が自然に育まれていますし、お互いに助け合う文化もできています。
こういった職場であれば、働きやすいですし、それだけでなく、育児の先輩から、子育てに対するアドバイスをしてもらったり、何かと相談に乗ってもらえたりといったこともできるので、育児のストレス・悩みを減らせるという利点もあります。
薬剤師は女性が多いので、ほかの職種と比べると、子育てがやりやすい職業ではありますが、そのなかでも、理解度が高い会社、低い会社に分かれるので、子育てを応援する雰囲気がある会社を見極めることが重要です。
ママ薬剤師が正社員として働き続けるハードルは、実は低い
結論から言えば、子どもがいるママ薬剤師でも、正社員として働き続けることは、十分に可能です。それを応援する環境が揃っています。
ほかの職業と違って、『本当は正社員で働きたいけど、子どものことを考えると無理』という理由で、やむなく、パートや派遣に切り換えるということはしなくても済みます。
もちろん、育児をメインにしたいので、敢えて、パートで短時間勤務にするという選択肢もアリですが、これはあなた自身が望んでのことなので、いわば、積極的な選択です。
仕方がなく・・・という消極的な判断をしなければいけないというのは、ママ薬剤師にはないので、ここを理解したうえで、自分が望む働き方を考えるようにしてください。
まとめ:ママ薬剤師が最適な働き方を決めるための具体的な手順
ママ薬剤師が働き方を決める時の手順をおさらいすると、下記のような順番で考えを整理していきます。
- 無理なく働ける日数、時間を計算する
- 必要な収入を計算する
- 優先順位をハッキリさせる
特に、重視するのは、時間とお金ですが、そこに自分自身のキャリアや、子どもとの向き合い方といったことがからんできます。
これらを整理したうえで、そのなかでも、最も重視することは何なのか、優先順位を付けていくことで、自分にとって最良の働き方が見えてくるでしょう。
ちなみに、自分が望むことが明らかになったら、転職エージェントに登録して、その望みが実現する仕事があるかどうか、探してもらうことをオススメします。
ここまで見てきたように、薬剤師というのは、仕事と子育てを両立させやすい職業なので、希望通りの条件で働ける可能性が高いです。
ほかの仕事では、まず無理だろうということも実現できるので、『望みが高すぎかな?』と思えても、最初から諦めることはせずに、エージェントに確認してみてください。
マイナビ薬剤師、ファーマキャリア、ファルマスタッフといったエージェントであれば、育児支援に力を入れている企業からの求人案件を多数保有しており、ママ薬剤師の転職支援を得意としているので、仕事を紹介してもらうには最適です。