薬剤師は、あらゆる職業のなかで、比較的、転職が多い職種です。収入を上げたい、スキルアップをしたいなど、その理由は色々ありますが、転職というのは、人生の大きな選択です。
人手不足の薬剤師業界は、転職者に有利な状況ですが、それでも、安易な転職は、プラスにはならないケースも多いです。
そのため、どんな理由があるとしても、転職するのであれば、準備期間を設けて、万全と準備を整えてから、転職活動に挑むのがベストです。
そこで、転職活動に必要な期間、最適な時期、避けたほうが良い時期などについて、このページでは、まとめてみます。
目次
転職を目指す時には、いつから、転職活動を行えばいい?
転職に要する期間の目安として、具体的に転職をしたいと考えている時期の半年前から転職活動を始めることを、オススメします。
その理由については、この後、説明しますが、その前に、1つ重要なことをお伝えしておきます。それは、「転職の目的」を明確にすることです。
冒頭でも触れたように、転職を希望する理由は、人それぞれですが、その理由によって、どんな会社へ転職すべきなのか、ゴールが変わってきます。
たとえば、薬局の店長になって、よりレベルの高い仕事に就きたいというのが目的であれば、店長になれる可能性が高い会社を選ぶことになりますし、育児に時間を割きたいので、自分の時間を確保できる職場で働きたいということであれば、仕事が楽な会社、残業がない会社を選ぶことになります。
収入アップが目的であれば、自分の経歴を高く評価してくれる会社を探すことになりますし、今の人間関係が嫌なので、一刻でも早く、今の職場を離れたいということであれば、あまり条件は気にせず選ぶほうがいいかもしれません。
目的によって、目指すところが違ってきますが、自分が何を重視するか、あいまいなままで、何となく転職先を選んで、『ここではなかった』と後悔する人が多いです。
そうなると、何のために転職したのか分からないので、必ず、転職の理由を明確にしておいてください。全ては、そこからです。
そのうえで、転職先を探すことになりますが、薬剤師の場合、探し始めて、自分が納得出来る会社への転職が決まるまでに要する期間は、平均で3~6ヶ月と言われています。
また、実際に転職が決まった時には、今の職場に退職願を提出することになります。一般的には、正社員の場合、最低でも1ヶ月前に届出を出すのが常識となっていますが、会社が新しい人材を探すための期間や、採用が決まってからの申し送り期間なども含めると、3ヶ月前ぐらいには伝えたほうが、無難です。
今の職場に不満があって転職を考える人だと、『なんで、会社のことを考えなければいけないのか』と思ってしまうかもしれませんが、急な申し出だと、会社側が了承せず、トラブルになってしまうかもしれません。
もちろん、転職を希望する人を無理に引き留めることは出来ないので、そうなったとしても、あなたに分があるのですが、せっかくなら円満に終わらせたいところです。不要なトラブルを避けるためにも、余裕を持って伝えるようにしましょう。
こういったことを考慮すると、最低でも半年程度の時間的猶予を見て、逆算しながら動き始めたほうが賢明です。
年代や薬剤師としての実績によって、仕事の探しやすさが変わってくる
ここまでお伝えしたことは、概要的な内容となりますが、もっと細かく分けると、年齢や実績によっても、転職活動に必要な時間が変わってきます。
たとえば、20代、30代前半の若手層であれば、雇う側は将来性を見越して、ある程度甘く見てくれるので、仕事が見つかりやすいです。
(ただし、薬剤師として働き始めてから数ヶ月となると、会社側の印象も変わってきます。最低でも、1年ぐらいの社会人経験は欲しいところです。それぐらいの経験があれば、一通り、基本的な知識があるということで、戦力として見てもらえます。)
一方、30代後半以降、(特に40代以降)となると、管理業務の経験があるかどうかなど、これまでのキャリアを厳しい目でチェックされることになります。
管理薬剤師や店長として、5年以上働いてきたなど、一定の実績があれば、すぐに転職先が見つかりますが、そういった実績がない人の場合、年齢がネックになってきます。
薬剤師は不足気味なので、細かいことを気にしなければ、何らかの仕事に就けると思いますが、条件にこだわるのであれば、長期戦を覚悟したほうがいいです。
転職先を決める前に退職すると、次の仕事が見つからなくなる
いずれにしても、ここで重要なことは、次の仕事が決まるまで、絶対に今の会社を辞めないということです。退職した場合には、無職という状態になりますが、そうなると、評価が下がるため、面接を受けても、受からないなど、状況が厳しくなります。
また、無収入のまま、しばらく仕事が決まらないと、金銭的に苦しくなり、条件を選んではられなくなります。このことは、雇う側も知っているので、渋めの条件を提示してきます。
それでも、受けざるを得ないので、前職よりも収入が下がるなど、何のために転職したのか分からなくなります。転職市場においては、現役であることが、極めて重要な要素であり、この地位を捨ててはダメです。
結婚や子育てからの復帰は、マイナス要因にならない
ただし、女性の薬剤師が、結婚や出産を機会に仕事を辞めて、無職になったというのは、問題ありません。こういった理由でのブランクというのは、正当なものとみなされて、マイナス要因にはならないからです。
また、最近では介護のために仕事を辞めたというのも、正当な理由とみなされるようになり、現役に復帰するのは、容易になっています。
転職を目指すうえで、最適な時期
薬剤師を募集する会社というのは、常に存在するので、一年中、いつでも転職することが可能ですが、そのなかでも、求人が多い時期というのがあり、この時期を狙って転職活動を行ったほうが、成功しやすいです。
薬剤師の場合、幾つか、ポイントとなる時期があるのですが、まずは1~3月です。この時期は、一年のなかで、人の動きが最も活発になる時期であり、多くの求人が出てきます。
また、大学病院など、中途採用をあまり行わないところからも、求人が出てくるので、稀少な求人と出会える時期でもあります。1~3月はチャンスが多いので、このタイミングを逃さず、チェックすることをオススメします。
次に、求人数が多いのは、7~9月です。4月に新卒で入社した薬剤師が、退職しやすい時期ですし、6月のボーナスをもらったタイミングで、転職する人が多いので、欠員を募集するために、求人を出す会社が増加します。
先手を打って、求人をチェックする人が勝つ
1~3月、7~9月が狙い目ということになりますが、転職事情に詳しい人だと、このことを知っているので、この時期に、魅力的な求人を探す薬剤師が増えます。
転職のライバルが多くなるということですが、そうなると、今度は薬剤師同士の転職競争が起きることになります。
この時期は、チャンスが多いけど、競争も激しいということです。そのため、ライバルを出し抜かなければいけませんが、そのためには、先手を打つことです。
たとえば、1~3月の時期を狙って、転職する場合、1月になってから、転職活動を行うのは遅いです。
少なくても12月、できれば、11月ぐらいに転職会社に登録して、自分が希望する条件に合う求人が出たら、すぐに教えてもらえるように、段取りをしておいてください。
なお、転職会社を利用しない場合、求人サイトを使って、情報を探すことになりますが、好条件の求人というのは、非公開となっていて、誰でも見ることができるサイトには掲載されません。
転職会社が抱えていて表に出さないので、満足できる転職先を見つけたいのであれば、転職会社には必ず登録しておいてください。下記の転職会社は、保有求人数が多いので、情報源としてオススメです。
<薬剤師の転職支援を専門とする転職会社>
転職する時には、ボーナスの支給時期に注意
今、ボーナスのことに触れましたが、現在、在籍中の人は、勤めている会社のボーナスの支給時期に注意してください。
仮に支給されるのが6月だったとしても、5月までに退職を申し出た人は、対象外となるといった決まりがある場合があります。
退職の時期が、ボーナスの支給時期と重なった場合、ボーナスがもらえると、認識している人も多いと思いますが、ここは、各会社の規定次第です。就業規則に記載されているので、退職する前に、きちんと確認しておいてください。