大阪というのは、薬剤師を募集する求人が多い地域ですが、薬剤師の数も多いため、競争倍率は高めです。それに加えて、大阪の経営者はコストに対する意識が高いため、人件費にも目を光らせており、年収交渉が非常に難しい地域です。
そのため、他県と比較して、大阪は薬剤師の給与が安いエリアです。
薬剤師の平均年収 | 515万円 |
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大阪で働く薬剤師の平均年収 | 478万円(35位) |
48都道府県のなかでも、下から数えたほうが早いという状況です。薬剤師にとっては厳しい環境ですが、そんななかで、どうすれば好条件で転職できるのか、現時点において実践できることをまとめてみます。
目次
大阪で高給の仕事につくためのヒント
今現在、大阪府内において発生している薬剤師の求人案件をチェックして、高給の求人の傾向について調べてみました。
その結果、給与が安い大阪においても、特定の種類の求人については、高給与であることが分かったので、その特徴をお伝えします。
1:調剤薬局で働くのであれば、周辺部が狙い目
調剤薬局については、都市部よりも周辺地域のほうが、給与が高い傾向がありました。特に、枚方市、羽曳野市、柏原市、岸和田市、箕面市、高槻市、泉佐野市には、年収550~600万円ぐらいの給与で、薬剤師を募集している薬局が多いです。
経験年数が豊富なベテラン薬剤師だと、年収700万円も見込めるといった薬局もあります。大阪市の中心部だと、500万円を下回るような薬局も少なくないので、この差は大きいです。
2:中心部で働くのであれば、調剤併設ドラッグストアor病院
一方、大阪の中心部で働くのであれば、調剤併設型ドラッグストアであれば、年収が600万円を超えるような求人が、けっこう出てきます。薬剤師免許の取得見込み者という条件でも、これぐらいの給与を提示するドラッグストアもあるぐらいです。
- シフト勤務で仕事は不規則
- 夜勤もある
- 仕事の量は多い
こんな感じで、ハッキリ言ってキツイ職場ではありますが、その分、お金は稼げます。
また、大阪市内、堺市内にある総合病院は、薬剤師の給料が高めです。一般薬剤師で年収が550~650万円、薬局長だと、年収700~800万円といったところです。
3:漢方薬局は調剤薬局より高め
漢方専門の薬局から出ている求人は、一般的な調剤薬局の求人よりも、高給です。大阪市内の漢方薬局でも、年収が600万円を超えるような求人がチラホラでています。
漢方・生薬の取り扱い経験がある、認定薬剤師の資格を持っているといった人であれば、700万円以上の年収が提示されることもあるようです。
ただし、求人の数としては、かなり少ないので、こういった仕事に就けるチャンスは限られているので、求人を見つけた時には、すぐに応募したほうがいいです。
4:大手薬局チェーンの運営業部
これも数が少ないレアな求人となりますが、薬局チェーンやドラッグストアチェーンの本社、支社において、運営業務に携わるという仕事があり、年収は高めです。
営業、採用、店舗管理、総務、経理、商品仕入れなど、仕事の内容は多岐に渡ります。特定の業務に専門的に取り組むケースもあれば、複数の業務を兼務するケースもあり、ここは会社によって違います。
薬剤師としての知識・経験が必要となる仕事なので、薬剤師免許の有資格者が募集されていますが、内容としては、一般的な薬剤師業務と異なるので、そこをどう考えるかです。
年収も600万+αといったところで、それほど高額なものでもないので、将来的に、ずっと本部運営の仕事に関わっていきたいという人でないと、オススメはできません。
逆に、こういった仕事に興味があるということであれば、いいと思います。(マネージャークラスに昇進できれば、年収700~1000万円ぐらいはいくので、一般的な薬剤師よりも、高収入を得られる可能性は十分にあります。)
5:臨床開発の仕事を狙う
大阪で、薬剤師が高給を目指すのであれば、製薬会社やCROといった一般企業の臨床開発系の仕事が、有望な選択肢となります。
求人数としてはCRA(臨床開発モニター)が最も多くなりますが、QA、QC、DM、メディカルライティングといった内容の求人も見受けられます。
一般企業だと、月給自体は、それほど高額なわけではなく、調剤薬局やドラッグストアと同等水準ですが、賞与が手厚く、なかには8ヶ月分支給といった会社もあります。そのため、年収で換算すると、700万、800万といった数字になってくるという計算です。
福利厚生も充実しているので、待遇面は、大阪で見つかる仕事のなかでは、かなりのハイレベルとなります。
ちなみに、これだけの好条件が見込める求人というのは、臨床開発関連の実務経験が必要となり、企業勤務の経験がないと、採用される可能性は低いです。
未経験でも薬剤師であれば応募可といった、臨床開発系の求人もありますが、その場合、年収は450~500万円ぐらいになります。
ただし、1年以上の経験を積めば、実務経験者とみなされるようになるので、年収600万オーバーの求人に応募することができるようになりますし、経験年数が3~5年になれば、800~900万円といった数字も見えてきます。
そのため、最初の1年は我慢して、その後、再転職で収入アップを目指すというキャリアプランで考えてもいいと思います。(我慢する価値が十分にあります。)
6:店長、マネージャークラスであれば、地域を問わず高給
これは言うまでもないこともかもしれませんが、店長、マネージャーといった、マネジメント業務の仕事につけば、大阪府内のどこで働いたとしても、年収は高くなります。
調剤薬局、ドラッグストア、病院、一般企業、勤務先についても、気にする必要はありません。どこでも、高給与です。
マネジメント経験がなくても、薬剤師としての勤務経験が3年ぐらいあれば、応募できる求人が多いので、未経験者でも、意欲さえあれば、仕事は必ず見つかります。
7:派遣社員の時給は高め
これは全国的な傾向となるのですが、派遣社員の時給は高額となっています。大阪でも、時給3000円を超えるような求人がけっこうみつかります。
この時給で、フルタイムで働いた場合、月20日勤務で、月収48万円ですから、正社員の給料を上回る計算となります。薬剤師の給与が低めの大阪だと、なおさらです。
この背景には、正社員として雇用すると、会社の都合で辞めさせることができないため、契約期間が決まっている派遣社員のほうが、好まれるようになってきている
でも、正社員のほうが人気なので、時給を高くすることで、派遣社員として働く薬剤師を募集しているという事情があります。
契約期間があるといっても、更新されるのが基本ですし、仮に、契約が打ち切りとなっても、すぐに次の仕事が見つかるので、実は案外、オイシイ働き方です。
一般的な職種だと、仕事を探すのが大変なので、雇用が不安定というのはネックとなりますが、薬剤師に関しては、心配不要のことなので、給料が上がるだけお得感があります。
正社員の給与が低い大阪だと、派遣の魅力度は、さらに高くなります。フルタイムで働けば、福利厚生も正社員と同じ待遇となるので、選択肢の一つとして、検討してみてください。
派遣社員だと、自分から仕事を辞めるのが簡単というメリットもあります。
薬剤師が高給の仕事に就くための具体的なステップ
ここからは、薬剤師が大阪において、高給の仕事につくためには、どんなふうに行動していけばいいのか、具体的な手順について、お話していきます。
1:転職エージェントに相談する
求人を探す時には、薬剤師の転職支援を手掛けるエージェントに登録して、仕事を紹介してもらうのが、好条件の仕事に就く秘訣です。
ネットを利用して、自分で探すこともできますが、条件の良い求人ほど、エージェントが抱え込んでいて、表には出てきません。
(転職サイトを検索して、あまり良い求人が見つからなかったとしても、好条件の求人が存在しないわけではないということです。)
また、雇う側も、エージェントからの紹介を受けた薬剤師を信頼して、採用する傾向にあるので、エージェントを利用することで、採用確率がアップするというメリットもあります。
2:給与アップの交渉を依頼する
そして、エージェントを利用する最大のメリットは、条件交渉を行ってもらえることにあります。中途採用で転職する場合、給料というのは雇用する側と本人との話し合いで決まることになりますが、交渉に慣れていない素人が、人事担当者と交渉するのは大変です。
薬剤師には、性格的に控えめで、おとなしいタイプが多いので、そういった人だと、お金の交渉するのは、苦手だと思います。
そんな人が無理に話を進めても、うまくいく可能性は低いですし、下手をすると、印象が悪くなって、不採用になってしまうかもしれません。
エージェントであれば、この手の交渉に慣れているので、条件アップに成功するケースが多いですし、仮にダメだったとしても、自分は表に出ていないので、会社側との関係性がおかしくなることはありません。
プレッシャーがかかる交渉を行わずに済むことで、心理的なストレスをなくせるというだけでも、大きなメリットなので、面倒なことは、最初からエージェントに任せてしまってください。
仕事を探す時に、ハローワークを利用することを、最初に思いつく人が多いかもしれませんが、あまりオススメはできません。
大阪府内各地のハローワークは、薬剤師を募集する求人を扱っており、条件的には悪くないものが多いのですが、それでも、転職エージェントから紹介してもらえる求人と比較すると、劣ります。
また、ハローワークは、エージェントのように、給与交渉を行ってくれるわけではないので、結果的にエージェントを通すよりも、低い給与で転職が決まるケースが多いので、こういったことを考えると、微妙です。
ただし、まれに掘り出しモノ的な求人が見つかることもあるので、エージェントと併用する形で、ハローワークに相談してみるのはアリです。
大阪で仕事を探す薬剤師に、オススメの転職エージェント
では、エージェントを利用するとして、どのエージェントを選べばいいのでしょうか?大小様々なエージェントが存在するので、選ぶのに迷うかもしれませんが、下記で取り上げる5社を利用すればOKです。
ちなみに、この5社のうち、3社は全国規模で転職支援サービスを行っている業界大手のエージェント、2社は、大阪を中心として、関西圏で活動している地域密着型のエージェントです。
業界大手は、保有求人数が多いので、基本的には、ここを押さえておけば十分なのですが、小さな薬局だと、大阪を地元とするエージェントを利用する傾向があり、まれに好条件の求人もあるので、念のため、地元のエージェントとも話をしたほうがいいということで、取り上げています。
エージェントごとに、得意とする求人の傾向が、微妙に異なるので、大手で1~2社、地元で、どちらか1社を選んで利用するのが、バランスがいいかなと思います。もちろん、5社全てに登録して、求人を紹介してもらうということでも構わないです。
全国規模のエージェント
マイナビ薬剤師
大手エージェントのなかでも、最も保有求人数が多い最大手。業界内において地位を確立しているため、交渉力が強く、大阪においても、好条件で転職できている薬剤師が多いです。
調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬会社、CRO企業、あらゆる案件を扱っていますが、未経験者応募可の求人から、一定年数の実務経験が要求される求人まで、応募条件の幅が広く、自分の経歴にあわせて、適切な求人を選ぶことが可能です。
大阪で仕事を探す時には、絶対に押さえておくべきエージェントと言える存在です。
ファルマスタッフ
マイナビ薬剤師に匹敵するだけの規模を持つエージェントですが、大阪府内が勤務地となる求人だと、やや保有求人数で劣ります。特に、一般企業の求人については弱いです。
ここだけが難点ですが、調剤薬局、ドラッグストア、病院については問題なしです。薬剤師の免許があれば、誰でも応募可能という求人ばかりなので、利用しやすいです。
正社員、契約社員、派遣、パート、あらゆる雇用形態の求人をカバーしているので、色々と紹介してもらって、比較してみるのも面白いです。
ファーマキャリア
あらゆる種類の薬剤師求人を扱っていますが、マイナビ薬剤師、ファルマスタッフと比較すると、ドラッグストア、企業勤務の求人の割合が高くなっています。なお、ドラッグストアについては、OTC販売のみの求人も多いです。
OTCのみだと、給料は低めとなりますが、それでも年収450~600万円ぐらいにはなりますし、仕事の量が少なくなるので、ノンビリとしたペースで働けるような仕事を探しているという人には、オススメです。
あとは、ファーマキャリアの特徴として、小さな子どもを持つママ薬剤師の転職支援を得意としており、結婚や出産、育児など、女性特有の悩みにも、親身になって相談に乗ってくれますし、仕事と育児を両立できるような職場を紹介してくれます。
育児が一段落したので、仕事に復帰したいというブランク明けの人、婚活や妊活に時間を充てたいので、プライベートを優先できるような職場を探しているといった要望を持つ人の、サポート実績も多いです。
大阪を中心に活動している地元のエージェント
PMC
大阪、神戸を中心に、薬剤師の転職支援を行っているエージェント。病院や調剤薬局で勤務した経験を持つ元薬剤師が、コンサルタントとしてサポートしてくれるので、心強いです。
大手と比べると、保有求人数は一歩劣りますが、条件面などの質については、負けておらず、特に調剤薬局の求人については、年収が600万円を超えるような求人を、常時確保しています。
勤務地別にみると、堺、吹田、茨木、四條畷などが中心です。大阪府内の薬局からの求人でも、高給の案件があるのですが、薬局長、管理薬剤師といったポジションの求人が大半を占めており、一般薬剤師の案件は少ないです。
メディカルプラン
大阪をはじめとする関西圏において、薬剤師の転職支援サービスを手掛けるエージェント。数は少なくなりますが、大阪市の中心部にある個人薬局からの求人で、年収が600~700万円となるような好待遇案件を扱っています。
調剤、薬歴管理、服薬指導といった、ごく一般的な業務内容となり、管理薬剤師の業務は含まれていません。応募資格についても、薬剤師の免許があれば、経歴は不問となっています。
大阪市の中心部で、こういった求人は、なかなか見つからないので、そういった意味では、メディカルプランは非常に有益な情報源となります。
ただし、繰り返しになりますが、限られた数となっているので、タイミングによっては、紹介してもらえる求人がゼロということは、覚悟しておいてください。
まとめ:大阪で高給の薬剤師求人を探し出すコツ
薬剤師の平均年収が低い大阪においても、高給の求人は存在するので、傾向を把握したうえで、転職エージェントのサポートを受けながら、適切な方法で探していけば、満足できる条件の仕事が必ず見つかります。
闇雲に探すか、ポイントを押さえたうえで探すか
ここが勝負の分かれ目となるので、大阪における薬剤師求人の特徴を押さえたうえで、転職活動に取り組んでください。
また、通勤に問題なければ、京都や奈良、兵庫など、あえて近隣県の求人を狙うという考え方もあります。状況によっては、大阪よりも探しやすいと思います。
上記でリストアップしている転職エージェントは、関西エリアの薬剤師求人は全て押さえているので、興味があれば、このあたりのことについても、話を聞いてみてください。